Debian パッケージの説明文を日本語で読みたい! 〜DDTP へのお誘い〜
Debian のインストール時や、その後のアップグレード時に誰しもお世話になる、 dselect や apt で表示されるパッケージの説明。 あれを日本語で読みたいと思ったことはありませんか?
Debian の各パッケージには、それぞれのパッケージについて、その 内容や用途などを記載した description (パッケージ説明文) が付けられています。 また、Web ページ上のパッケージ一覧でも、個々のパッケージを説明するために この description が利用されています。
この description を各国語に翻訳しようという活動が "Debian Description Translation Project (DDTP) - Debian パッケージ説明文翻訳プロジェクト - " です。日本語翻訳チームも参加しており、翻訳作業が進められています。
皆さんもパッケージ説明の日本語訳に参加してみませんか? 今まで知らなかった便利なパッケージ、おもしろいパッケージが見つかるかも しれませんよ。
作業の大まかな流れとしては、
- サーバに GET コマンドを送って、未訳の説明文を入手する。
- 翻訳作業を行う。
- 翻訳済みの説明文を添付ファイルとしてサーバに送信する (このとき、ついでにコマンドを送って別の未訳説明文を入手することもできる)。
となります。
以下は、作業ガイドの翻訳です (一部加筆修正あり)。
こんにちは!
これは Debian Description Translation Server から自動送信されるメールです。複数の翻訳者で Debian パッケージの説明文 (description) を訳すことができ、サーバがその成果を統合します。
- サーバのメールアドレス: desc@ddtp.debian.org
- サーバ管理者: Michael Bramer <grisu@debian.org>
- 日本語コーディネータ: Ippei Tamura <ippei1@bb.mbn.or.jp>
- ホームページ: https://ddtp.debian.org/
注意
- サーバへのコマンドは Subject 行に書いてください。
- サーバへデータなどを送るときは、添付ファイルとしてください。
利用可能なコマンド
- 'GET 2 ja '
- 未訳の説明文 2 個を要求する。"2" の代わりに ほかの値 (1-9 まで、10以上は不可) を指定することもできる。
- 'GET package ja'
- パッケージ名 package の説明文を要求する。
- 'SGET package ja'
- ソースパッケージ 'package' の説明文を要求する。
- 'STATUS ja'
- 言語 "ja" のステータスレポートを要求する。
- 'NOGUIDE' (コマンドオプション)
- サーバからの返信内に、このガイド文を表示しない。
- 'NEVERAGUIDE'
- サーバからの返信内に、このガイド文を永久に表示しない。
- 'NONEVERAGUIDE'
- NEVERAGUIDE の状態を取り消す。その後はサーバからガイド文が送られてくる。
- 'NOTHING' (コマンドオプション)
- 新たな説明文や、ステータスレポート等を送らない。
- 'COMMAND ja'
- サーバに、バッチファイルの全コマンドを実行させる (詳細は後述)。
- 'SECTION section' (コマンドオプション)
- GET コマンドと組み合わせて使う。分野を指定して
説明文を入手できる。sectionに指定できる分野は以下のとおり。
admin, base, comm, devel, doc, editors, electronics, games, graphics, hamradio, interpreters, libs, mail, math, misc, net, news, oldlibs, otherosfs, science, shells, sound, tex, text, utils, web, x11使用例: 'GET 2 ja SECTION editors' - 'LISTTRANSLATEDPACKAGES ja'
- あなたが翻訳した全パッケージ名を、(もし存在すれば) open 状態となっている バグ報告番号と共に表示する。
添付についての注意
サーバからはすでに適切なフォーマット済みの添付ファイルが送られてきます。 あなたはそのファイルを保存して翻訳し、再び添付ファイルとしてサーバに返信するだけです。 Subject 行を気にする必要はありません。(翻訳済みの説明文を添付して) 普段通り返信してください。すると、また新たに未訳の説明文が送られて きます。
いくつかのルールがあります
- '#' で始まる行はコメントです。
- "From: Name <email@host.com>" で始まる行には、翻訳者のメールアドレスを指定します。 別のアドレスを使っているときに有用です。
- 各説明文は空行で区切られていなければなりません。
- 新たな空行を追加しないでください。
- オリジナルの説明文は絶対に修正しないでください!
翻訳作業について
サーバからは翻訳対象が送られてきます。その内訳は、オリジナルの説明文 (一切手を加えないでください!) と翻訳のテンプレートです。
一部翻訳済みの箇所がある場合は、サーバがあらかじめ挿入してくれます。
以下は簡単な (日本語翻訳の) 例です。
Description: A tetris clone. Gnome is the "GNU Network Object Model Environment" . It is a project to build a complete, user-friendly desktop based entirely on free software. Description-ja: <trans> Gnome とは、"GNU Network Object Model Environment" の略です。 . <trans>
やらなくてはならないのは、<trans>の箇所をあなたの翻訳文で 置き換えることだけです。上記の例では、翻訳文の最初の部分を サーバが挿入してくれています。この部分も自由に修正することが できます。
注意
- 送られてきた添付ファイルを保存し、テキストエディタで翻訳をしてください。 翻訳が終わったら再び保存し、添付ファイルとしてサーバに返信してください。
- 'Description' という単語は訳さないでください。
- 説明文の段落構成は修正しないでください。
- オリジナルの説明文は修正しないでください。誤りを見つけたなら、 BTS に投げてください。
- 繰り返しますが、オリジナルの説明文は絶対に修正しないでください。 空行、スペルミス等も、一切修正しないでください
- 特殊文字は使ってもかまいません。
使用文字種に関する注意
- エンコーディングには UTF-8 を使ってください。
バッチファイルについて
複数のコマンドが書かれたバッチファイルを、サーバに送ることができます。 バッチファイルの名前は 'ddts_command.txt' でなければならず、その中に 通常のコマンドを記述することができます。以下は例です。
SGET mc GET 3 STATUS GET bb NOGUIDE BTSCLOSE 455
'STOP' という特別コマンドは、ファイル中の処理を中断します。
その他
訳文の「書き方」については、以下に挙げるルールに沿ってください。
- ですます調を使う。
- 句読点は 「、。」を使う。
- 早川 仁さん著 『JF 文書文体ガイド』の第 2, 3章。
翻訳作業の補助をしてくれるツールとして、以下のものがあります。
- ddts-send:中野武雄さん作のシェルスクリプトで、サーバとのメールのやり取りを省力化してくれます。
- ddtc パッケージ [testing][sid]:新規 description やバグ報告の受信、翻訳文の送信などを省力化してくれる Perl スクリプトです (現在のところ、バグ報告の受信処理に問題があるようです)。
Web 上で利用できる参考資料としては、次のようなものがあります。
また、description 自体の記述の指針として、次の文書も参照してください。
DDTP に関連する連絡や議論、翻訳上の質問や回答などは Debian JP Documentation メーリングリストで行っています。DDTP に参加してくださる方は、ぜひとも購読してください。
終わりに
まだまだ翻訳作業に協力してくれる人の数が不足しています。 あなたも DDTP に参加して、多くの未知なパッケージを探検しながら Debian プロジェクトに contribute しませんか?
