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Debian ポリシーマニュアル
Chapter 2 - Debian アーカイブ


Debian システムは パッケージ の集合体として 管理、配布されています。Debian には非常に数多くの (現在 15000 個を優に上回る) パッケージが含まれますので、取り扱いを簡略化するためパッケージは セクションプライオリティ によって分類されています。

Debian プロジェクトはフリーなオペレーティングシステムの構築を目指して努力を重ねていますが、私たちが利用可能にしたいと思う全てのパッケージが私たちの定義に沿った フリー (詳しくは下記記載の Debian フリーソフトウェアガイドライン, Section 2.1 をご覧下さい) なものとなっているわけではなく、また制限なしに輸出入ができるものともなっていません。 そこで、Debian アーカイブは、そのソフトウェアのライセンスやその他の制限条件に基づいて、いくつかの配布エリア[3] として分割されています。

この目的は

Debian ディストリビューション とは main アーカイブエリアからなります。

この二つ以外の配布エリア (contrib および non-free) に収録されているパッケージは Debian ディストリビューションの一部とは見なされません。 しかしながら、私たちはそれらのパッケージが使用できるようサポートしますし、 またそれらに対するインフラストラクチャ (バグ追跡システムやメーリングリストなど) も提供します。 Debian ポリシーマニュアルの記述はこれらのパッケージにも適用されます。


2.1 Debian フリーソフトウェアガイドライン

Debian フリーソフトウェアガイドライン (DFSG) は私たちが 「フリーソフトウェア」であると考えるソフトウェアの定義です。

1. 自由な再配布

Debian を構成する個々の部分要素 (パッケージなど) のライセンスでは、その部分要素を、いくつかの異なる出自を持つプログラムを複数含む集積されたソフトウェアの配布物の一部として販売ないし無料で配布することを、 いかなる個人または団体に対しても制限してはなりません。 このような販売に対してライセンスはロイヤリティーや、その他の料金を要求してはいけません。

2. ソースコード

プログラムはソースコードを含んでいなければならず、コンパイル済み形式の配布だけでなくソースコードの配布も許可しなければなりません。

3. 派生物作成の許諾

ライセンスはソフトウェアの変更、およびその派生物の作成を許可しなければなりません。 また、それらがオリジナルのソフトウェアのライセンスと同じ配布条件の元で配布されることを許可しなければなりません。

4. 作者のソースコードへの変更の制限と配布条件

プログラムをビルドする際に、ソースコードを変更するための 「パッチファイル」を、そのライセンスがソースコードと共に配布することを許可している場合に 限り、ライセンスは変更されたソースコードの配布を制限することができます。 この場合、ライセンスは変更されたソースコードからビルドされたソフトウェアの配布を明示的に許可していなければなりません。 ライセンスが派生物に対して、オリジナルのソフトウェアとは異なった名前ないしバージョン番号を冠することを要求することは認められます (これは妥協です。Debian プロジェクトではすべての作者にソース、バイナリを問わずいかなるファイルへの変更をも制限しないことを推奨しています)。

5. 個人ないし団体に対する排斥の禁止

ライセンスは、いかなる個人ないし個人からなる団体に対しても差別をしてはなりません。

6. 使用分野に対する排斥の禁止

ライセンスは誰に対しても、プログラムをある特定の分野で使用することを制限してはなりません。 例えば、ライセンスでプログラムを商用で使用すること、または遺伝子研究に使うことなどを制限してはなりません。

7. ライセンスの配布時の均一性

プログラムに付属する諸権利は、そのプログラムが再配布されるすべての人びとに、その人びとによるライセンスの追加条項の履行を必要とせずに適用されなければなりません。

8. ライセンスは Debian においてのみ適用されるものであってはならない

プログラムに付属する諸権利は、そのプログラムがある Debian システムの一部であるということに依存するものであってはなりません。 もしそのプログラムが Debian から取り出され、Debian システムなしで使用ないし配布されるとしても、そのプログラムのライセンスが定める条件の範囲内で扱われる限り、そのプログラムが再配布された全ての人びとは、Debian システムとの関連に基づいて認められていたのと同じ諸権利を有さなければなりません。

9. ライセンスは他のソフトウェアに影響を及ぼしてはならない

ライセンスはそのライセンスが適用されたソフトウェアと一緒に配布される他のソフトウェアに制限を設けてはなりません。 例えば、ライセンスは同じメディアで配布される他のプログラム全てがフリーソフトウェアであることを主張してはなりません。

10. ライセンスの例

「GPL」、「BSD」、「Artistic」ライセンスなどが 私たちが フリー であると見なすライセンスの例です。


2.2 アーカイブエリア


2.2.1 main アーカイブエリア

main アーカイブエリアが Debian システムを構成します。 言い換えると、このエリア内のパッケージのみがディストリビューションの一部であるとみなされます。 main アーカイブエリアのパッケージには、動作するためにこのエリア外のソフトウェアを必要とすることは許されていません。 誰でも、このアーカイブエリア内のパッケージを自由に利用、共有、変更、再配布することが許されています [4]。

main に収録されるパッケージは全て DFSG (Debian フリーソフトウェアガイドライン) に準拠していなければなりません。

加えて、main に収録されるパッケージは


2.2.2 contrib アーカイブエリア

contrib アーカイブエリアには、Debian ディストリビューションで利用するための追加ソフトウェアで、ビルドや動作にディストリビューション外のソフトウェアを必要とするものが収録されます。

contrib に収録される全てのパッケージは DFSG に準拠していなければなりません [5]。

これに加えて、contribnon-US/contrib のパッケージは

contrib に含めることができるようなパッケージの例としては


2.2.3 non-free (非フリー) アーカイブエリア

non-free アーカイブエリアには、Debian ディストリビューションで利用することを意図してはいますが、DFSG に準拠しない、または配布に問題があるような他の問題をもつパッケージが収録されています。 これらは修正の制限や、その他の制約のため、本マニュアルのポリシーでの要求をすべては満たしていないかもしれません。

DFSG に準拠していないパッケージ、または特許やその他の法的問題のために配布に問題のあるパッケージは non-free に収録しなければいけません。

これに加えて、non-free のパッケージは


2.3 著作権に関する考慮

全てのパッケージは、その著作権情報や配布ライセンスの無修正のコピーを /usr/share/doc/package/copyright ファイルとして同封して配布されなければなりません (詳細は 著作権関連情報, Section 12.5 を参照ください)。

私たちは、下記のような場合にファイルを私たちのアーカイブへ収録することを制限する権利を留保します。

ユーザに対して作者への寄付を奨励しているプログラムを main で配布することは、その作者が寄付をしないことを非道徳的であるとか、非倫理的であるとか、違法であるとか何かそれに類する主張をしていない限りなんら問題ありません。 そうでなければそのプログラムは non-free に分類しなければいけません。

その著作権認可表示が (あるいは特許問題によって) バイナリのみの再配布すら認めておらず、また特別な許可も得られていないプログラムのパッケージは、 Debian の FTP サイトにもそのミラーにも置いてはいけません。

国際著作権法 (これはアメリカ合衆国でも適用されます) の下では、 明示されていない限り、ある作品の配布や変更は 認められていない ことに注意してください。 著作権表記が明記されていないプログラムにも著作権は 存在する のであり、そのようなプログラムに何らかの形で 手を加えるということは、いつ訴えられてもおかしくないということです! 同様に、著作権は明記されているが何が許可されているか述べられていないプログラムとは、なにも許可されていないということに他なりません。

多くの作者は、制限のきつい著作権 (あるいは著作権表示の欠如) が、作者の意図としてはフリーなはずだったソフトウェアのユーザにもたらす数々の問題について気がついていません。 そこで、そのような作者たちと連絡をとって丁重に交渉し、彼らのライセンス条項を変更してもらうよう頼むのは多くの場合やってみる価値があることです。 しかし、これは政治上難しいことの一つであり、まずは 以下記載のように debian-legal で助言を求めるべきでしょう。

もし著作権について疑問点があれば、 mailto:debian-legal@lists.debian.org にメールを出しましょう。 私たちに問題の著作権表示を提供できるよう準備しておいてください。 GPL で保護されたソフトウェア、パブリックドメインソフトウェア、そして BSD スタイルの著作権は問題ありません。 「商用利用は禁止」あるいは「配布に制限あり」といった言い回しに注意してください。


2.4 セクション

取り扱いを簡略化するため、maincontribnon-free の各アーカイブエリアに含まれる全てのパッケージは、更に セクション に分類されます。

それぞれのパッケージのアーカイブエリアとセクションはパッケージの Section コントロールファイル (control record) で指定すべきです (Section, Section 5.6.5 参照)。但し、 Debian ディストリビューションとしての一貫性を保証するため、Debian アーカイブの管理者がこの選択を上書きすることがあります。 Section フィールドは以下の形式をとります:

Debian アーカイブメンテナがセクションの公式リストを提供します。 現時点では、それらは下記の通りです。 admin, cli-mono, comm, database, debug, devel, doc, editors, education, electronics, embedded, fonts, games, gnome, gnu-r, gnustep, graphics, hamradio, haskell, httpd, interpreters, introspection, java, kde, kernel, libdevel, libs, lisp, localization, mail, math, metapackages, misc, net, news, ocaml, oldlibs, otherosfs, perl, php, python, ruby, science, shells, sound, tasks, tex, text, utils, vcs, video, web, x11, xfce, zope. さらに追加の debian-installer セクションがあり、そこにはインストーラで利用し通常の Debian パッケージでは使わないような、特殊なパッケージが収録されています。

セクションとその定義については、 list of sections in unstable を参照ください。


2.5 プライオリティ

それそれのパッケージには所定の プライオリティ (priority) 値が設定されているべきです。この値はパッケージの コントロールファイル に含まれています (Priority, Section 5.6.6 参照)。この情報は Debian のパッケージ管理ツールが、プライオリティの高いパッケージを重要性の低いパッケージから選別する際に用いられます。

Debian パッケージ管理システムが認識する priority の値 を下記に示します。

required

システムが適切に機能するために必要なパッケージです (通常、dpkg の機能がこれらのパッケージに依存している場合に当たります)。 これらのパッケージを削除してはなりません。 万一削除してしまうとシステムは完全に動作不能となり dpkg で復旧することすら不可能になってしまいます。 required なパッケージのみのシステムはおそらく実用的ではないでしょうが、システム管理者がシステムを起動し、 より多くのソフトウェアをインストールするに足るだけの機能は備えています。

important

どんな Unix ライクなシステムに於いても見つかることが期待されるような重要なプログラムは、このプライオリティに属します。 そのプログラムが欠けていることに気づいた時、Unix 経験豊富なユーザが「foo は一体全体どこだ?」と悪態をつくと思われるような場合には、それは important に含まれるべき [7] です。それ無しではシステムが良好に動作しなかったり、 あるいは使い物にならないといった種類のパッケージもここに含められるべきです。 このカテゴリには Emacs、X ウィンドウシステム、TeX といった大規模なアプリケーションは 含まれませんimportant なパッケージには一般に存在が期待される、または必要といえるような、かつその最小の集合と考えられるツール類のみが含まれています。

standard

これらのパッケージはほどよく小規模ながらも、あまり制限のきつくないキャラクタベースのシステムを提供します。 ユーザが何も他に選択しなかった場合、このパッケージ群がデフォルトでインストールされます。多くの大規模なアプリケーションは含まれません。

optional

(語の意味から言えば本来必要でないものはみんなオプション なのですが、ここでは違った意味内容を示します。) これは、そのパッケージが何か知らなくとも、また特殊な要求が無い場合にも、 とりあえずインストールしておく価値があると思われる全てのパッケージです。 これは X ウィンドウシステムや完全な TeX ディストリビューション、多くのアプリケーションを含み、ずっと大規模なシステムを構成します。 optional なパッケージは互いに conflict しないようにすべきです。

extra

プライオリティとして required、important、standard、optional のいずれかが指定されている他のパッケージと衝突するパッケージは全てこれに含まれます。 また、それが何なのかすでに知っている場合や、特殊な要求に対応したもの (例として、分離したデバッグシンボルのみを含むパッケージなど) である場合にのみ有用であると考えられるパッケージ群もこのプライオリティに収録されます。

パッケージはそれよりも低いプライオリティ評価が与えられたパッケージに依存してはなりません (ビルド時の依存は除きます)。 これを保証するため、一つまたは複数のパッケージのプライオリティを調整しなければならない場合があります。


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Debian ポリシーマニュアル

バージョン 3.9.5.0, 2014-07-03

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